綾辻行人の小説『迷路館の殺人』を読む際に何度か参照するであろう内容を記載しておく。
あらすじ
鹿谷門実のデビュー作『迷路館の殺人』。それは作者自身が巻き込まれた実在の連続殺人事件を基にした推理小説であった。
奇妙な地下の館、迷路館。主人の宮垣の還暦パーティに招かれた招待客。あることをきっかけに、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった。館シリーズ第3作。
登場人物
※本作の登場人物の名前は、島田潔を除き鹿谷門実名義の作中作における仮名である。
宮垣葉太郎(みやがきようたろう)…推理作家。迷路館の主人。1948年、戦後の探偵小説復興期に21歳の若さでデビュー。推理文壇における影の大家。
清村淳一(きよむらじゅんいち)…推理作家。デビュー前は小さな劇団に所属。一筋縄では行かない性格。舟丘まどかと離婚している。
須崎昌輔(すざきしょうすけ)…推理作家。猫背で貧弱な印象。中世ヨーロッパを舞台にした本格ミステリを得意とする。遅筆。同性愛者で、最近は林のことを口説いていたらしい。
舟丘まどか(ふなおかまどか)…推理作家。デビュー当時、美人の女流新人作家として注目されたが、その後は伸び悩みの状態。酒に強い。清村淳一と離婚している。
林宏也(はやしひろや)…推理作家。気が弱そうな印象。今回集まった推理作家の中で最年少。
鮫嶋智生(さめじまともお)…評論家。38歳。生まれつき重度の知的障害を抱えた息子がいる。新人文学賞の評論部門で宮垣の絶賛を受け、評論家としてデビュー。
宇多山英幸(うたやまひでゆき)…大手出版社「稀譚(きたん)社」の編集者。宮垣の担当でファンでもある。
宇多山桂子(うたやまけいこ)…英幸の妻。医大卒で耳鼻咽喉科に勤めていた。
井野満男(いのみつお)…宮垣の秘書。弁護士の資格を持つ。
角松フミヱ(かどまつふみえ)…迷路館の使用人。使用人としての仕事以外に関心を示さない。
黒江辰夫(くろえたつお)…宮垣の主治医
島田潔(しまだきよし)…探偵役。中村青司の館を見たくて迷路館へ向かっていたところ、宮垣と知り合い、招待されることとなった。
平面図
fig.1 迷路館平面図