ある日、目覚めると身体が虫に変わっていた。
フランツ・カフカの『変身』をご紹介!
変身について
あらすじ(引用元)
ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。
仮面ライダーの『変身』は、実はカフカの『変身』からきているそうです。
ある朝目覚めると主人公は褐色の昆虫に変身している。
という物語。
まず“変身”という言葉。
この言葉を聞いて何を想像しますか?
私は仮面ライダーを思い出します。
実は仮面ライダーの“変身”はこのカフカの“変身”を参考にしているんです。
よく考えると仮面ライダーも“変身”して昆虫をテーマにしたヒーローに“変身”します。
こんなところにも影響を及ぼしているとは。
すごい作品です。
変身の構成について
物語は大きく三つに分かれています。
第一章
主人公が朝目覚めると巨大な昆虫に変身してる。
家族や仕事先の支配人が来てそれを発見し、大騒ぎになる。
最終的に父によって主人公は自室に追い立てられる。
主人公は家族の重要な働き手だった。
働き手がいなくなってしまった家族は貯蓄を切り崩していく。
第二章
主人公は自室で生活することになった。
世話は17歳の妹がしてくれている。
食べ物の嗜好や行動が昆虫らしいものに変わっていく。
ある日そんな主人公を見た母親は気絶する。
父親からリンゴを投げつけられ、重傷を負い、満足に動けなくなってしまう。
第三章
父親から投げつけられたリンゴは主人公にめり込んだまま、主人公を苦しめ、食欲もない。
貯蓄も少なかった家族は切り詰めた生活をしており、全員が働き始める。
妹も満足に世話をしなくなった。
最終的に家族は主人公を見捨てるべきだという結論を出した。
その間に主人公は息絶えてしまう。
休養が必要だと感じた家族はそれぞれの勤め先に欠勤することを伝え、外に出る。
しばらくの間、会話が無かった家族は久しぶりに近況を話す。
お互いの仕事は恵まれて将来への希望を感じる。
いつの間にか妹は美しく成長している。
両親はそろそろ妹の婿を探してやらねばと考える。
ページ数は解説も入れて、135ページです。
1~2時間でサクッと読める作品でした。
変身した理由は現実逃避?
カフカはこの小説を書いて、何を伝えたかったのでしょうか?
主人公は仕事に対する不満をたくさん抱えていました。
出張が多い、顧客もすぐ変わるため人付き合いができない、朝も早い。
しかし家族の借金があるので辞めるわけにはいかない。
そんな葛藤の中で我慢して働いてきたことが分かります。
おそらく主人公はその現実から逃れたかったのではないでしょうか。
結果的に昆虫になった主人公は仕事を辞めることになっています。
しかし昆虫になった結果、家族や周りの人から避けられることになり、最終的に存在を否定されることになります。
家族なのにその存在を否定され、追い出そうとされる。
人間の嫌な部分が表現されている。
違う側面もあります。
主人公が昆虫になった結果、17歳の妹は主人公の世話をしたり、働くようになります。
結果、たくましく成長し、立派な大人になる。
葛藤、自由、嫌悪、否定、成長。
この作品にはいろいろな解釈があり、たくさんの論文が発表されています。
ぜひあなたもこの小説を読んで感想を聞かせてください。
私も時間を空けて再読したいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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