表示される広告をブロックできるアプリがあります。
広告が多いと邪魔ですし、その広告に魅力があると本来の目的から逸れてしまいます。
広告は私たちの選択に大きな影響を及ぼしています。
その傾向を事前に知っておくことで、あなたの選択が、本当の選択なのかを見極めるヒントになるでしょう。
ダイヤモンドは永遠の輝き
まずは具体例から。
ダイヤモンドが普及した話をします。
今でこそ有名な宝石であるダイヤモンドですが、一般の人がダイヤモンドの婚約指輪を送るようになったのは1960年ごろからなんです。
(それまでは一部の富裕層や貴族のみの習慣でした)
あるとき、ダイヤモンドの売上げが減少し、困っていたデアビスという企業が広告代理店のエアーに相談しました。
相談を受けたエアーはダイヤモンドと愛を結びつけ、ロマンチックな求婚の主役にすることを思いついたのです。
ある映画のシナリオにダイヤモンドのエンゲージリングを組み込み、さらにあの秀逸なコピー「ダイヤモンドは永遠の輝き」を生み出しました。
そしてダイヤモンドは永遠の愛の証であるという価値観が大衆に広まっていき、ダイヤモンドの売上げは上昇したのです。
憧れる人のマネをする
「ダイヤモンドは永遠の輝きで、プロポーズには必須のアイテムである」という価値観はなぜ広がったのでしょうか?
その答えが脳にあります。
脳にはミラーニューロンという模倣を促すニューロンがあります。
例えば、赤ん坊は教えていないにも関わらず、親の真似をします。
親が「こんな仕草までみていたのか」とびっくりするほどに真似をします。
これはミラーニューロンの働きです。
ちなみに大人でも真似をします。
例えば新しい土地に映ると、そこで使われている言葉を使うようになります。
また、無意識にお互いの姿勢さえ真似ることがあるそうです。
この特性は相手が上位の存在であるほど強くなります。
憧れている人の持ち物や生活習慣を自分に取り入れようとする人って多いですよね?
これも、ミラーニューロンの働きなのです。
広告はこの特性をハックし、商品を宣伝しています。
人気の俳優を起用し、その商品を使わせ、人々に模倣を促しているのです。
結論
各種のマーケティング手法は、人間の文化や資本主義、民主主義には欠かせない要素であり、人間が発展した要因のひとつであると考えます。
しかし一方で、人間の特徴である脳の傾向(思考パターン)を利用され、私たちの選択が意図的に操られていることも事実です。
私たちは、自分の選択が自分の本当の目的、願いに沿っているのか、それとも操作によって選択させられているのかを見極める力が必要です。
その力とは知識だと思います。
人間がどのような思考パターンを持っているのかを理解し意識することで、意図的な介入を回避し、自分が本当に求めているものを選択できるようになります。
そして本当の意味で、自分の人生を生きることができるのです。
参考文献
『脳にはバグがひそんでる 進化した脳の残念な盲点/ディーン・ブオノマーノ』