書評・要約・雑記等

オーバーロードから学ぶ会社経営、問題解決手法について

今回はアニメから学ぶ会社経営ということで、シリーズ累計1,100万部を突破している大人気小説「オーバーロード」をピックアップし紹介します

概要

まず、このオーバーロードという作品の紹介です。
いわゆる異世界系の作品で、著者は丸山くがねさん。

当初はWEBで公開されていた作品で、それをベースに書籍化、さらにアニメ化、漫画化されている大人気作品です。
(2021年12月時点でシリーズ累計1,100万部を突破)

物語は仮想現実ゲームが転位した世界。
VRMMORPG「ユグドラシル」がサービス終了することとなり、長らくプレイしてきた主人公はギルドの本拠地で最後のときを迎えます。しかし、終了時刻になってもログアウトせず、プレイするキャラクターのまま過ごしていくこととなります。

転移後、主人公は「アインズ」として、ユグドラシルでプレイしていた別のプレイヤーの存在を探ろうと模索していきます。

では、目標設定、現状把握、問題・課題、対策立案・実行の順に解説していきます。

目標の設定

アインズは転移後、まず身の安全を確保するため、拠点を周りから見つけづらくしたり、各NPCが自分の命令を背くことがないか確認をします。
そしてある程度、状況が整理できたあと、同じ世界に別のプレーヤーがいないか探そうとします。

そして、ふと「世界征服」という言葉を発し、それを聞いたNPCが感銘を受け、物語は世界征服に向けてどのような行動をとっていくのかということを中心として展開していくのです。

ここでいう「世界征服」は目標です。
目標は目的との整合性があること、また定量的に測定できるものでなければなりません。

目的は他のプレーヤーを探すこと。
世界征服によって名が世界に知れ渡れば、他のプレーヤーとコンタクトをとりやすくなるでしょう。

また、他国を制圧した状態が世界征服だとすると、達成度合いもわかりやすく、目標として適切です。

ちなみに目標設定のコツはSMARTであることが求められます。
具体的であるか(Specific)、計測できるか(Measurable)、達成可能性はあるか(Achievable)、関連性はあるか(Relevant)、明確な期限があるか(Time-bound)を満たしている必要があります。

現状把握

アインズはまず周辺地域の情報を探るため、「モモン」という冒険者を名乗り、付近の国で活動を開始しました。その理由は、この世界を知るためです。

情報がない状態では、目標を達成するためになにが足りないのか、なにをすればよいのかがわかりません。

現状把握で確認すべきことは、事実です。
よく現状のなかに仮説が入っている場合はがあります。これは不適切です。
仮説が入ると、現状は不確かなものとなり、適切な対策に繋がりません。

必ず現状把握をするときは、事実のみに着目しましょう。

問題・課題

アインズは冒険者として活動をするなかで、いくつかのことがわかってきました。

まずは強さ。主人公アインズはもともとゲームの中でトップレベルのプレーヤーであり、強者でした。転移後の世界でも同様で、強さに関しては問題がないことがわかりました。

次にお金です。
転移前のゲーム:ユグドラシルで使用していた通貨は、現世界では使えないことがわかりました。これは問題です。
活動するためには資金が必要です。
冒険者として働き、活動するための資金集めをすることになります。

そしてもうひとつ、人脈です。
転位した世界には、当然ながら知り合いはいません。
情報は基本的に人によって伝達されていきます。

冒険者として活動していましたが、それでも情報源に乏しく、有益な情報は少ない状態でした。
そこで、新たな情報収集のため、上級の冒険者となり、重要な任務をこなすこととなります。

対策の立案・実行

情報がある程度集まり、問題・課題がわかったら対策の立案・実行です。
ここでアインズの進め方がうまいのが、まずトライアルを実施していることです。

トライアルとは試すこと。
世界征服に向けて、アインズが国を制圧していくことを考えます。
そこでまず、近くの湿地にあるリザードマンの集落を狙うのです。

いきなり大きな国を相手にするのではなく、まずは小規模な地域を狙いある程度リスクを排除した形で、丁寧に施策を進めています。

最初から大風呂敷を広げてしまうと、もしその対策が間違っていたときに、修正が困難です。そこで、まずは小さくはじめて様子をみて、問題がないか確認できてから、そこから全体にアプローチしていく。これが対策をうまく進めるやり方、セオリーです。

まとめ

会社経営のなかでも、基本中の基本である問題解決の流れについて、オーバーロードを参考に解説しました。

エンタメ作品として面白く、経営者としてどのように動けばよいのかという視点からも勉強になる作品です。
小説、漫画、アニメとそれぞれの媒体で楽しめるので、自分に合ったところから入りやすいです。
主人公はもともと普通の会社員で、純粋にゲームを楽しんでいました。ゲームのなかでは、ギルド長として活動していましたが、実際はアイテムの管理や、お金の管理など、どちらかといえば経理的な位置づけで活動していたわけです。

しかし転位によって、自我を持っていなかったNPCが主人公に忠誠を誓い、ぽろっとこぼしてしまった世界征服を鵜呑みにされ(否定もでき)、トップとして振る舞い、先導する立場となりました。

いままでマネジメントの経験がなかった主人公が、悩みながらもNPC達とともに目標に向かって歩んでいく姿には感銘を受けます。
本当におすすめの作品ですので、読んでみて(または観てみて)下さい!